【第十四話:軟石の採掘(能取り)

 切出された石は、周囲が不整形で平らになっていませんので、決められた大きさに形を整えます。特別な大きさに注文を受けた石以外は、3切(約30p×30p×90p)の大きさにしました。
 まず、石に定規で線を引き、「額縁用ツル」で真っ直ぐに角を取り、次に石を反して2枚の定規を上と下に置き、平行になるように線を引き、石の周りの形を整えます。これを「額縁」を作ると言います。


額縁取り作業

 次に石の中央が切り出した状態のままでこぼこになっていますが、これを「能」と言い、「能取りツル」を使用して取ります。この時ツルの跡が線となるので「線を入れる」とも言いました。


能取り作業


左:能取りツル 右:額縁用ツル

 額縁と同様に平滑面としないで、わざわざツル目を入れて仕上げたのは当時のデザインだったのでしょうか? ツル目の他にも「ビシャン」仕上げと言うものもあり、これは小さな穴目を入れて仕上げるものです。
 軟石の表面をよく観察すると、線状になっているものと小さな穴が開けられたものを古い軟石造の建物外壁や塀に見ることができます。
 当時は日に80個〜120個仕上げました。石山からは能取り後の石が札幌や全道に運ばれて行きました。

(注)「能取り」の文字は「野取り(どちらも「のとり」と発音します)」「野剃り(こちらは「のぞり」)」などともいわれますが、今回は石工さんだった地蔵さん、渋谷さんの使用していた文字を使いました。


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