【第十五話:軟石の採掘(よもやま話@)



 この写真の道具は「トビ」と言います。軟石の下に欠片を置き、トビを使い主に3切の軟石を回したり転がしたりして、自由に操りました。

 火山灰を取り石切現場を切り開いても、冷え固まる時やその後の地震などにより亀裂が入っているとそこは悪い現場となり、切り羽を採掘途中で中止した現場もあります。

 堀切り職人は、夏 明るくなる朝4時から夜遅くなる8時まで堀切りをした人もいたようです。一日中同じ作業の繰り返しで、これは大変根気の要る仕事でした。

 割り出し職人は、経験と勘で石切現場全ての指揮を取りました。また、金矢を差し込む「矢穴」は現場の軟石の性質により、下向きや上向きを調節し、軟石を上手に起こしました。小割りの時も同じです。

 石山には、神社の鳥居や狛犬、それに灯篭なども作る仕上げ職人もいました。
 鳥居や灯篭灯篭などを作るには、まず長さ・大きさ・厚さなどの必要な塊を残し、その周りを掘り下げ、割り出し、その石を成形していきます。
 鳥居を成形するには、現場で1週間位かけて成形し、設置場所で1日かけて建てました。丸い柱を作るには、四角〜八角〜十六角〜三十二角と余分な面を落としながら円形に形作っていきました。

石山神社の鳥居

 狛犬の成形もさることながら、鳥居の大きさの石を切出して成形していく工程を見てみたい気がしますが、もはや今となっては手掘りによるこれらの過程を見ることはできなくなりました。

※これらの話は高柳省三さん・小原正治さん・荒井晴雄さん達の話を基にしました。


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