【第二十六話:軟石の建物@】

 札幌軟石物語もその生成から始まり、発見・採掘方法・運搬方法などの歴史を話してきましたが、最後に軟石が使用され現存する建物を紹介したいと思います。



★旧札幌電話交換局

 現存する中で最も古い建物は、明治31年(1898)に中央区大通西2丁目に旧札幌郵便局に付属して建てられた『札幌電話交換局』です。

旧:札幌電話交換局

 この建物は昭和37年(1904)にお役御免となり解体撤去され、解体後の軟石は「ブタ小屋」に転用される運命であったものを、当時愛知県の犬山市に建設中であった「明治村」に、この所有者から寄贈という形で昭和40年(1907)に移転展示され、危うくブタ小屋になるところを逃れました。もしブタ小屋になっていたら、現存していなかったでしょう。
 明治村の出入り口近くにある赤みをおびた外壁の胴体の花模様・浮き彫り、そして窓飾りなど、当時の石工達の修練された技術を見ることができます。



 明治村に展示されている北海道産の建物は、この『旧札幌電話交換局』のみですが、建設当時の材料をほとんど使用し復元された建物はこれだけで、また数多く展示されている建物の中にあって一際重厚感がある建物です。この建物は移転展示後の昭和43年(1910)に国の重要文化財に指定されました。

 内容は全国から集めた古い電話交換機や電話の展示場にしてあり、内装の一部は当時の復元がしてあります。愛知県に行く機会がありましたら、現存では最古の札幌軟石造の建物をご覧になってください。


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