【第二十八話:軟石の建物B】


★苗穂支処倉庫
 (札幌市東区苗穂町7丁目)

 苗穂の雪印乳業裏にあるこの石造倉庫群は、陸上自衛隊敷地内と言うこともあり、あまり知られていませんが、壮大なスケール感があり他を圧倒しています。札幌軟石が使用された建物としては、現存する最も大きな建物でしょう。
 この建物群は約3年の歳月をかけ、一棟の長さ98mで内部不骨造(軟石の外壁のみで構造されている)の『軍馬用飼料倉庫』として明治41年(1908)に4棟建築されました。
 当時は建物をはさんで鉄道の引き込み線があり、旧陸軍が日本中の燕麦(えんばく)を購入し、秋には内外に燕麦の巨大な山が見られたのです。建物の下部廻りには大小の半円筒状に加工された軟石、中間部分や軒下それに角部分にもそれぞれ加工された軟石が使用されています。当時の石工たちの技術の高さが伝わってきます。

苗穂支処倉庫(旧軍馬用飼料倉庫)



★旧札幌拓殖倉庫
 (札幌市厚別区厚別町小野幌「開拓の村」)

 この建物は当初、札幌市北区6条西1丁目2に営業用倉庫として明治40年(1907)頃、五十嵐合名会社が建てたもので、明治45年(1912)創立の札幌拓殖倉庫に引き継がれました。
 当初は一棟の規模が梁間(短辺方向)9.1m、桁間(長辺方向)49.14mの不骨石造の倉庫5棟が建てられていました。

開拓の村にある旧札幌拓殖倉庫
 倉庫があった敷地が札幌駅周辺の鉄道高架化に伴い、高架用地として買収されることになり「開拓の村」に昭和59年(1984)移築復元されました。
 外壁に設けられた正面の星型マーク、扉付窓が印象的な建物です。この復元された倉庫から見て、当時5棟連なって建っている光景は壮大なものであったろうと思われます。


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