【第三十話:軟石の建物⑤】

★秋野総本店薬局蔵
 (札幌市中央区南1条西1丁目)

 札幌都心部の南1条通りの近代的建物が並ぶ喧騒とした中に、今では一際目立つ建物があります。これは創業者の秋野キトが明治5年(1872)に始めた薬種売薬業の秋野総本店薬局で、札幌で最も古い薬局ですが、明治34年(1901)の大火で創業時の建物は焼失し、火に強い土壁の母屋と札幌軟石造の蔵を再建して現在に至っています。

秋野総本店薬局蔵
 店舗と一体になった軟石造の蔵は地上二階地下一階で、建築から百年以上過ぎた現在も薬の保管に使用しています。地下室を持つ軟石造の建物はここだけかもしれません。
 札幌の中心街の中で時代を感じさせる貴重な建物です。


★かさはら楽器店(旧原田商店)
 (札幌市中央区南1条西4丁目)

 札幌中心街の路面電車が走る4丁目停留所の前に、当時のこの通りの雰囲気を伝える軟石造店舗があります。明治中期~後期に建てられたもので、大正14年(1925)からは荒物雑貨問屋に、戦後は楽器店が営まれ現在に至っています。
 正面の両側には「梲
(うだつ)があがらない」の梲が設けられています。これは防火を兼ねた装飾的な壁です。
 建物の持ち主は軟石を大切にして当時の頑丈さを保っています。

かさはら楽器店
(旧原田商店)


★喫茶Good Hour(旧金岩商店蔵)
 (札幌市南4条東3丁目)

 石蔵を改造利用した喫茶店です。明治期の建物で、当時は金岩商店が使用していた札幌軟石造の蔵です。
 昭和62年(1987)に札幌グッドアワー教会の牧師により正面下屋を増築し、木組みを生かした内部は同教会の憩いの場ともなっています。


喫茶Good Hour
(旧金岩商店蔵)


Copyright
© 2005 石切山街道まちづくりの会 All Rights Reserved.