【第三十五話:軟石の建物I】


★沢田珈琲店(旧平岸農業実行組合共同選果場)
(札幌市豊平区平岸2条6丁目)

 平岸通りから豊平方向に少し入った場所に、ビルに囲まれて一際目立つ札幌軟石の建物があります。
 この地域はリンゴ栽培が明治時代の早くから行われていた場所で、戦前は「平岸リンゴ」として知られるようになりました。この建物は昭和13年(1936)に農家の人たち二十数名が共同で建てた選果場で、1階が作業場、2階は集会所として使用されていました。ここで箱詰めされたリンゴは海外までも輸出されていました。

沢田珈琲店
(旧平岸農業実行組合共同選果場)
 選果場はその後、倉庫や事務所として使用される変遷を経て、平成4年(1992)に現在の「沢田珈琲店」の喫茶店に改装されました。
 内部は吹き抜け空間を設け、外観はほとんど当時の状態で残され、札幌軟石の良さを生かした魅力的な建物として再生されています。


★ぽすとかん(旧石山郵便局)
(札幌市南区石山2条3丁目)

 平岸通り(旧国道230号)から石山緑地のアプローチ路の一角に、札幌軟石生産地の象徴として存在している代表的建物。
 この建物は旧石山郵便局として昭和15年(1940)建設されたもので、正面入り口の大きなアーチ、軒の半年アーチ内の[〒]マークが残され、当時の面影を感じさせます。

ぽすとかん
(旧石山郵便局)
 平成9年(1997)に道路拡幅によりい地区され内部は改装されましたが、ギャラリー・フリースペース等を備えて地域に開放されています。
 石山地区は札幌軟石の生産地で、軟石を使用した建築物等が多数存在し「ぽすとかん」はその代表的な建物のひとつとなっています。

【指定等】 さっぽろ・ふるさと文化百選、札幌市都市景観賞、札幌市重要建物


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