【第五話:軟石の仲間たち】

 軟石の切出し面をよく見ると、白い軽石が丸く見える面と、レンズ状に見える面があることが分かります。軽石が丸く見えるのは地層の表面部分で、レンズ状に見えるのは地層の断面部分となります。これは、もともと球形状であった軽石に上部から圧力がかかり、つぶれたことによるものです。これが溶結凝灰岩の特徴です。

丸面状は地表面

レンズ状は断面

 また、軟石(溶結凝灰岩)の仲間たちとしては、美瑛軟石・小樽軟石・登別軟石など北海道各地で産出していましたが、今は札幌市南区の常盤地区だけとなりました。

 変わったところでは、層雲峡の柱状節理や天人峡の羽衣の滝などの大雪山近郊にある渓谷も、溶結凝灰岩の層であったものが石狩川や忠別川が浸食してできた地形です。



層雲峡小函の柱状節理

 国内では、福井県の東尋坊(とうじんぼう)や宮崎県の馬ヶ背(日向市)は、同じ溶結凝灰岩の層が海の浸食作用によりできた地形です。また、栃木県宇都宮市の大谷石は、堆積岩系の溶結凝灰岩(※)ですが全国的にも有名で、大谷町から石工職人も石山に出稼ぎにきていたようですし、機械掘りも昭和32年(1957)に大谷町に見学に行き、その後、札幌軟石採掘に導入されました。

※堆積岩は水の流れ・波や風により岩や土・有機物が沈降堆積して生成された岩で、その堆積岩が再結晶された札幌軟石とは生成を異にする。


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